消極的に一直線。【完】

「なぁ、」



二人で会話を進める鈴葉ちゃんと朝羽くんのあいだに、颯見くんの声が割り込んだ。



少しだけ空いた、数秒の間。



もしかしたら、颯見くんは。朝羽くんと鈴葉ちゃんの会話を、色んな思いを渦巻かせて、聞いていたんじゃないか、なんて、考えた。



私が、颯見くんと鈴葉ちゃんを見て、思ったように。



キュッと、胸をわしづかみにされる。



それは、颯見くんに同情して、なのか、それとも自分の気持ちが原因なのか、わからない。



「どうしたの？　嵐」



鈴葉ちゃんが、ふわりと颯見くんに笑顔を向ける。



あ、また。嫌なものが心の奥に渦巻いた。



「せっかく会ったんだし、哀咲と寺泉も一緒にまわるってどう？」



颯見くんが、そんな提案をした。



「いいね、私は大賛成！　寺泉さんがよければだけど……」



鈴葉ちゃんが、うかがうような視線を倖子ちゃんに向けた。



「あたしは別にいいけど。雫は？」



倖子ちゃんに、顔を覗き込まれる。



少し他人事のように流れを見ていた私は、慌てて頷いた。



「じゃあ、まずは甘酒、並びに行こうよ」



鈴葉ちゃんはそう言うと、ふわりと笑った。