消極的に一直線。【完】
年が明けてから、冬休みはあっという間に終わり、三学期が始まった。
何かが変わったわけではなく。
敢えて変わったことを挙げるなら、雪が降ったこと。
見慣れた学校の景色が、真っ白で、別の場所のように見えた。
「三日連続で雪とか最悪」
昼休み。
お弁当箱をお箸で突きながら、倖子ちゃんがため息をついた。
「もう地面が白くなってるの見るだけで寒くなるわ」
倖子ちゃんはそう言って、ウインナーをお箸でつかんだ。
「そういやさ、」
ぱくっとそれを口に入れて、もぐもぐと口を動かし、ごくりと喉仏が動く。
「アレの持ち主は見つかったの?」
訊かれて、小さく首を横に振った。
大晦日のあの日、神社裏で拾った、USBメモリーのような小さな黒い物体。
その持ち主の女子の、クラスも学年もわからないまま。
打ち上げの帰りにクラスの女子が彼らのことをテーブルゲーム部だと言っていたけれど、その部活も、いつ、どこで活動しているのか、全くわからない。
探すツテも勇気もない私は、ただ、廊下やどこかで、その子と出会うのを待っているだけ。
出会ったら、すぐに渡せるように、制服のポケットに入れている。
「その子のこと知ってる女子に訊いてみればいいじゃん」
そう言って、倖子ちゃんは、打ち上げの帰りにその人たちのことを話していたクラスの女子に視線を向けた。
倖子ちゃんに言われた通り、そうするのが一番なのはわかっているのに、やっぱり話しかける勇気が出ない。
「ま、あたしはあの子たち苦手だし、絶対訊かないけどね」
倖子ちゃんは頬杖をついて、またお弁当箱をお箸で突ついた。
何かが変わったわけではなく。
敢えて変わったことを挙げるなら、雪が降ったこと。
見慣れた学校の景色が、真っ白で、別の場所のように見えた。
「三日連続で雪とか最悪」
昼休み。
お弁当箱をお箸で突きながら、倖子ちゃんがため息をついた。
「もう地面が白くなってるの見るだけで寒くなるわ」
倖子ちゃんはそう言って、ウインナーをお箸でつかんだ。
「そういやさ、」
ぱくっとそれを口に入れて、もぐもぐと口を動かし、ごくりと喉仏が動く。
「アレの持ち主は見つかったの?」
訊かれて、小さく首を横に振った。
大晦日のあの日、神社裏で拾った、USBメモリーのような小さな黒い物体。
その持ち主の女子の、クラスも学年もわからないまま。
打ち上げの帰りにクラスの女子が彼らのことをテーブルゲーム部だと言っていたけれど、その部活も、いつ、どこで活動しているのか、全くわからない。
探すツテも勇気もない私は、ただ、廊下やどこかで、その子と出会うのを待っているだけ。
出会ったら、すぐに渡せるように、制服のポケットに入れている。
「その子のこと知ってる女子に訊いてみればいいじゃん」
そう言って、倖子ちゃんは、打ち上げの帰りにその人たちのことを話していたクラスの女子に視線を向けた。
倖子ちゃんに言われた通り、そうするのが一番なのはわかっているのに、やっぱり話しかける勇気が出ない。
「ま、あたしはあの子たち苦手だし、絶対訊かないけどね」
倖子ちゃんは頬杖をついて、またお弁当箱をお箸で突ついた。