消極的に一直線。【完】
「……ごめん」
謝った朝羽くんに、慌てる。
違う。違う。
勘違いさせてしまったんだ。
強張った身体を勢いよく立ち上がらせて、ぐっとスカートの裾を掴む手に力を込めた。
「そ、颯見、くん!」
絞り出した声が、中庭に響く。
朝羽くんの方にあった颯見くんの視線が、こちらにハッと飛んできた。
「あ……哀咲……」
さっきまでとは打って変わって力のない声が向けられる。
それとほぼ同時に、朝羽くんの腕をつかんでいた手が離れて、少しだけ安心した。
でも、早く誤解を解かないと。
泣いていたのは朝羽くんのせいじゃないって、ちゃんと伝えないと。
そう思って、深く息を吸い込む。
「ごめん、」
だけど、それを吐き出すより早く、颯見くんの声が耳に響く。
「ちょっと、こっち来て」
そう言って、自然と掴まれた、左手首。
ドクン、と心臓が音を立てて、脈が騒ぎ出す。
それに気づかれないように、意味もなく息をこらした。
颯見くんに引かれるままに、足を踏み出す。
だけど、二歩目を踏み出す前には、もうその手は離されてしまった。
触れていたのは一瞬の出来事だったのに、颯見くんの手の感触が左手首に残って疼いてる。
その場に呆然として立つ朝羽くんと鈴葉ちゃんを置いて、どんどん進む颯見くんに、ついていった。
謝った朝羽くんに、慌てる。
違う。違う。
勘違いさせてしまったんだ。
強張った身体を勢いよく立ち上がらせて、ぐっとスカートの裾を掴む手に力を込めた。
「そ、颯見、くん!」
絞り出した声が、中庭に響く。
朝羽くんの方にあった颯見くんの視線が、こちらにハッと飛んできた。
「あ……哀咲……」
さっきまでとは打って変わって力のない声が向けられる。
それとほぼ同時に、朝羽くんの腕をつかんでいた手が離れて、少しだけ安心した。
でも、早く誤解を解かないと。
泣いていたのは朝羽くんのせいじゃないって、ちゃんと伝えないと。
そう思って、深く息を吸い込む。
「ごめん、」
だけど、それを吐き出すより早く、颯見くんの声が耳に響く。
「ちょっと、こっち来て」
そう言って、自然と掴まれた、左手首。
ドクン、と心臓が音を立てて、脈が騒ぎ出す。
それに気づかれないように、意味もなく息をこらした。
颯見くんに引かれるままに、足を踏み出す。
だけど、二歩目を踏み出す前には、もうその手は離されてしまった。
触れていたのは一瞬の出来事だったのに、颯見くんの手の感触が左手首に残って疼いてる。
その場に呆然として立つ朝羽くんと鈴葉ちゃんを置いて、どんどん進む颯見くんに、ついていった。