消極的に一直線。【完】
「哀咲さん、すごいね!」
不意に後ろから声をかけられて振り返ると、吉澄さんにぎゅっと手を包まれた。
「銀に話せたね!」
そう言われて、どうして話すのが苦手なことを知られているのか疑問に思ったけれど、いつも言葉を発さないから知られて当然だ、と思い直す。
「チョコレート、こっちにあるから行こ」
そのままそっと手を引かれて、手作りコーナーへ向かう。
「颯見くんは濃いめのチョコが好きなんだって」
どうして吉澄さんはそんなことまで知っているんだろうと不思議に思いながら、ブラックチョコレートを数枚手に取り買い物カゴに入れる。
「トリュフが好きらしいから明日の部活はトリュフ作りだね!」
楽しそうにココアパウダーと生クリームを手渡されて、それを受け取りながら、なんだか胸が高鳴っていく。
それに気が付いたのか、吉澄さんがニコッと目を細めた。
「楽しみだね」
言われて、ゆっくり頷いた。
義理でも、颯見くんに喜んでほしい。
喜んで食べてもらえたら、すごく嬉しい。
「がんばれよ」
後ろから低い声が落ちてきて振り返ると、相変わらず表情の変わらない真内くんと目が合った。
不意に後ろから声をかけられて振り返ると、吉澄さんにぎゅっと手を包まれた。
「銀に話せたね!」
そう言われて、どうして話すのが苦手なことを知られているのか疑問に思ったけれど、いつも言葉を発さないから知られて当然だ、と思い直す。
「チョコレート、こっちにあるから行こ」
そのままそっと手を引かれて、手作りコーナーへ向かう。
「颯見くんは濃いめのチョコが好きなんだって」
どうして吉澄さんはそんなことまで知っているんだろうと不思議に思いながら、ブラックチョコレートを数枚手に取り買い物カゴに入れる。
「トリュフが好きらしいから明日の部活はトリュフ作りだね!」
楽しそうにココアパウダーと生クリームを手渡されて、それを受け取りながら、なんだか胸が高鳴っていく。
それに気が付いたのか、吉澄さんがニコッと目を細めた。
「楽しみだね」
言われて、ゆっくり頷いた。
義理でも、颯見くんに喜んでほしい。
喜んで食べてもらえたら、すごく嬉しい。
「がんばれよ」
後ろから低い声が落ちてきて振り返ると、相変わらず表情の変わらない真内くんと目が合った。