消極的に一直線。【完】
――ピンポーン



突然鳴り響いたインターホンの音で、ネガティブな思考の世界から、現実の世界に連れ戻された。



もうどれほどの時間、泣き続けていたのかわからない。



お母さんが帰ってきたのかな。



そう思って立ち上がった時。



――ピンポーン



もう一度インターホンが鳴った。



靴を脱いで玄関から上がり、慌ててインターホンの受話器を外す。



「はい」



泣いていたことを気付かれないように、よそ行きの高い声で応えた。










「あ、突然、すみません……雫さんと同じ部の、真内です」



耳に当てた受話器から聞こえた低い声は、あまりにも予想外の人物で。





「……え?」



思わず、声を漏らした。

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