消極的に一直線。【完】
着いた場所は、学校だった。



持ち出されたトリュフ。学校。



少し不安に思って真内くんの顔を見上げるけれど、真内くんは表情ひとつ変えずに進んでいく。



グラウンドから、運動部の「あざっしたぁーっ!」と威勢のいい終わりの挨拶が聞こえてくる。



真内くんの考えていることがわかった気がして、その場に立ち止まった。



それに気づいた真内くんも、歩みを止める。



しばらく立ち尽くして続いた沈黙を、真内くんが破った。



「それ、頑張って作ったんだろ」



視線が私の肩にかかった鞄に向けられる。



低く響いた心地いい声に、また、涙が出てきてしまいそうで、ぎゅっと鞄の持ち手を握りしめた。



「渡したかったって顔してる」



続けられた言葉を、肯定してしまいたい自分と、それを戒める自分がいる。



「大事なのは、あんたの気持ちだろ」



だめだよ、真内くん。
気持ちを揺らさないで。



そんな自分勝手なことしたら、駄目だから。
颯見くんに迷惑かけてしまうから。



「受け取れなくても、迷惑だと思う男なんていねーよ」



ドクドクと脈を打つ。



その言葉を肯定してしまいたい自分が、私自身を蝕もうとする。



渡しても迷惑だとは思われないの?


渡してもいいの?


駄目。違う。



鈴葉ちゃんのもの以外受け取れないということは、つまり渡したら迷惑だということ。
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