消極的に一直線。【完】
さっきまで胸いっぱいに思いを詰め込んで走っていた道を、空っぽになった体で、ゆっくり歩いて戻っていく。
颯見くんに、逃げられた。
なんて、そうじゃないのはわかるのに、そんな気がした。
これはきっと神様が、渡すな、迷惑だぞ、って教えてくれたんだと思う。
だからこれでよかったんだ。
そう言い聞かせながら進む。
その視線の先に、校舎の壁に背中を預けて立つ真内くんの姿が映って、なんだか申し訳なく思った。
わざわざ帰宅後にもう一度私の家を訪ねてくれて、学校まで誘い出してくれたのに。
普段あまり喋らないのに、あんなに必死に背中を押す言葉を並べてくれて。
受け取らなかったら代わりに受け取ってやると、逃げ道まで与えてくれた。
それなのに、渡せなかったなぁ。
そもそも他人に促されて出した勇気なんて、自分のものではなくて。
そんな付け焼き刃みたいな勇気で渡しに来られても、颯見くんだって困るだけ。
都合よくチャンスなんて与えられるわけなかった。
颯見くんに、逃げられた。
なんて、そうじゃないのはわかるのに、そんな気がした。
これはきっと神様が、渡すな、迷惑だぞ、って教えてくれたんだと思う。
だからこれでよかったんだ。
そう言い聞かせながら進む。
その視線の先に、校舎の壁に背中を預けて立つ真内くんの姿が映って、なんだか申し訳なく思った。
わざわざ帰宅後にもう一度私の家を訪ねてくれて、学校まで誘い出してくれたのに。
普段あまり喋らないのに、あんなに必死に背中を押す言葉を並べてくれて。
受け取らなかったら代わりに受け取ってやると、逃げ道まで与えてくれた。
それなのに、渡せなかったなぁ。
そもそも他人に促されて出した勇気なんて、自分のものではなくて。
そんな付け焼き刃みたいな勇気で渡しに来られても、颯見くんだって困るだけ。
都合よくチャンスなんて与えられるわけなかった。