消極的に一直線。【完】
親同士が学生時代からの友達で、家が近かったこともあり、僕と嵐と鈴葉は生まれた時からの幼馴染。



幼稚園の頃には、もう僕と嵐は鈴葉を取り合う仲だった。



鈴葉が何かを欲しがったら、競ってそれを手に入れようとしたし、
鈴葉が「背の高い人がカッコいい」と言えば、背の高さを競い合った。



サッカーを始めたのも、鈴葉がサッカーの試合中継を見て「カッコいい」と言ったからだ。



幼い時からの鈴葉への想いは、歳を重ねるごとに大きくなっていった。



それは、たぶん嵐も同じだったんだと思う。



だけど鈴葉は、僕ではなく嵐を好きになっていた。



わかりやすいんだ、鈴葉は。



僕は知ってる。



バレンタインのチョコを、嵐に渡すときだけ少し緊張していること。



部活の時は、嵐ばかりチラチラ目で追っていること。
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