消極的に一直線。【完】
雫と仲良くなる前のあたしは、女同士でつるむのが面倒で、適当に話す友達しか作らなかった。



女子で群れて、笑顔振りまいて、男子にも愛想振りまいてチヤホヤされて、みんなから好かれるような――そう、中雅鈴葉のような女は、もともと苦手だったんだ。



だからあたしは中雅鈴葉が嫌い。



あたしと真逆の女を好きになって、あたしをフッたような元カレなんか、一瞬で未練も吹き飛ばして、新しい彼氏作って、もう何とも思ってない……はずなんだけど。



どちらにしても、今のあたしが一番そばにいたいのは雫で、男なんてどうでもいい。



いや、彼氏はいるんだけどさ。



いつでも一生懸命な雫は、守ってあげたいと思う反面、憧れでもあって、勉強だけじゃないいろんなことを教えてもらってる気がする。



雫と一緒にいる時間は、今まで作ってきた適当に話せる友達との時間とは全然違う。



雫がいろんなことに気付かせてくれた。



女同士でつるむのも悪くない。
あたしは雫を勝手に親友だと思ってる。



雫はあたしと過ごすひとときを、宝物のように喜んでくれるけど、あたしだって雫と過ごすひとときは、たぶん、雫以上に嬉しいんだよ。
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