消極的に一直線。【完】
「はーい、みんなこっち注目!」



一人の男子の声に、ガヤガヤ賑わっていた声が静まった。



まだ名前も知らない一人の男子が、楽しそうに手を挙げみんなの視線を集める。



「颯見と話してたんだけど、今日の放課後クラス全員参加でカラオケ行こうぜ!」


「用事がある人は仕方ないけど、できるだけ全員参加で!」



その男子に続いて颯見くんも声をあげる。



その一声で、クラスに歓声が沸き立った。



みんながすごく楽しそうにはしゃいでいる。



クラスでカラオケ、私も行きたいな。

全員参加ってことは、私も行っていいのかな。



「いいけどお前ら制服のまま行くんじゃねーぞー」



太吉先生の声に、はーい、とみんなが返事する。



「じゃあ一旦家帰って着替えてから五時に駅前集合な!」



颯見くんの一声に沸き立つ歓声。



やっぱり颯見くんはすごい。



初対面の人もたくさんいて、今日集まったばかりのこのクラスを、もう一つにまとめてしまった。



「雫も行くよね?」



いつの間にか私の隣に立っていた倖子ちゃんに訊かれて、頷いた。
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