消極的に一直線。【完】
――――……


みんなが次々順番に歌っていくのを、手拍子しながら応援する。



また1人のクラスメイトが歌い終わって、みんなが拍手を送った。



「佐々木さん、歌上手いねー!」


「ふふ、ありがとう」



満足気なその視線がフッと私に向いた。



「次、お願いします!」



手に持ったマイクをスッと差し出される。



え、と声が漏れたけれど、それを拒否することはできなくて、ゆっくりマイクを受け取った。



それを手に持った瞬間に、どっと緊張が押し寄せる。



「雫……」



倖子ちゃんの心配する声が耳に入った。



「えーっと、何歌う?」



マイクを渡してくれた佐々木さんが、タッチパネルを見せながら尋ねてくれる。



何か、言わなきゃ。


そう思うのに、鼓動が大きくなるばかりで、言葉が出ない。



マイクを持つ手に汗が滲む。



大丈夫。大丈夫。
お願いだから落ち着いて。


歌う曲を答えるだけ。



この前倖子ちゃんとカラオケに行ったときに歌った曲を言えばいい。


だから落ち着いて。



自分に言い聞かせるけど、どんどん鼓動は主張を増して、体が震えてくる。



何も言葉を発さない私に、みんなの視線が刺さる。
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