消極的に一直線。【完】
「そんなに悩まなくても……」
クラスメイトの一人にそう声をかけられて、ぎゅっとマイクを握り締めた。
早く、言わなきゃ。
「あのさ、」
震える手に、倖子ちゃんの手が重なった。
「この子、歌うの超苦手なんだよね」
倖子ちゃんの手に私の手がマイクごと包み込まれる。
「だから、あたしとこの子、二人で歌わせてよ」
そう言い放った倖子ちゃんに視線を向けると、ニコッと返された。
「あーなるほどね」
「それで渋ってたんだ」
「えーじゃあ私も誰かと一緒がいい」
刺さっていた視線に解放されていく。
それと共に、ドクドクと暴れていた鼓動も鎮まっていく。
倖子ちゃんに助けてもらってしまった。
「二人は何歌うのー?」
「んーとね、あ、これこれ!」
倖子ちゃんのおかげで事なきを得た。
もし倖子ちゃんがいなかったら、友達がいなかったら、こんな展開にはならなかった。
友達ってありがたい。
すごくすごく、ありがたい。
だけど。
「はーい、曲始まりまーす!」
「がんばれよー!」
本当に、これで、よかった?
流れるイントロが歌詞の始まりに差し掛かろうとした、その時。
ガチャ、と部屋のドアが開いた。
クラスメイトの一人にそう声をかけられて、ぎゅっとマイクを握り締めた。
早く、言わなきゃ。
「あのさ、」
震える手に、倖子ちゃんの手が重なった。
「この子、歌うの超苦手なんだよね」
倖子ちゃんの手に私の手がマイクごと包み込まれる。
「だから、あたしとこの子、二人で歌わせてよ」
そう言い放った倖子ちゃんに視線を向けると、ニコッと返された。
「あーなるほどね」
「それで渋ってたんだ」
「えーじゃあ私も誰かと一緒がいい」
刺さっていた視線に解放されていく。
それと共に、ドクドクと暴れていた鼓動も鎮まっていく。
倖子ちゃんに助けてもらってしまった。
「二人は何歌うのー?」
「んーとね、あ、これこれ!」
倖子ちゃんのおかげで事なきを得た。
もし倖子ちゃんがいなかったら、友達がいなかったら、こんな展開にはならなかった。
友達ってありがたい。
すごくすごく、ありがたい。
だけど。
「はーい、曲始まりまーす!」
「がんばれよー!」
本当に、これで、よかった?
流れるイントロが歌詞の始まりに差し掛かろうとした、その時。
ガチャ、と部屋のドアが開いた。