消極的に一直線。【完】
――――……
翌日。
一時間目の授業が終わると、みんなが友達同士でかたまって、楽しそうにお喋りを始めた。
それを窓際の一番後ろから眺める、いつもと変わらない休み時間。
私もあの中に入ることができたらなぁ、なんて思いながら、ひとり席を立って女子トイレへ向かった。
休み時間は、あまり好きじゃない。
賑やかな教室で、私だけが、ひとり違う場所にいるみたいに感じてしまうから。
家でやってきた課題を見直してみたり、意味もなく教科書を黙読したり。
そんな風に時間を潰しながらも、やっぱり周りの賑やかさに目を向けてしまう。
こうやってトイレにいる時だけが、クラスに友達がいない自分を忘れられる気がした。
手を洗ってトイレから出ると、同じクラスの寺泉さんが、髪を指でくるくるさせながら鼻歌を歌って歩いてくるのが目に入った。
こんなとき、どうしたらいいのか、いつも考える。
真顔で素通りするのも、なんだかおかしいし、通り過ぎる一瞬の間に声を掛ける勇気もない。
そう考えている間にも、寺泉さんとの距離は近くなっていく。
どうしよう、鼓動が速くなってきた。
笑顔で手を振ってみようかな。
そう思って、すれ違う寸前に、少しだけ右手を上げて小さく振ってみた。
だけど、寺泉さんは、それに気づかなかったみたいで、ご機嫌な鼻歌を歌いながら、目もくれずに通り過ぎていった。
やっぱり、手を振るなんて、図々しすぎたかな。
笑顔で会釈ぐらいにしておけば良かったかな。
後悔と思案を交互に繰り返しながら、教室に入ろうとした時。
目に映った教室の中の光景に、思わず足が縫い付けられた。
翌日。
一時間目の授業が終わると、みんなが友達同士でかたまって、楽しそうにお喋りを始めた。
それを窓際の一番後ろから眺める、いつもと変わらない休み時間。
私もあの中に入ることができたらなぁ、なんて思いながら、ひとり席を立って女子トイレへ向かった。
休み時間は、あまり好きじゃない。
賑やかな教室で、私だけが、ひとり違う場所にいるみたいに感じてしまうから。
家でやってきた課題を見直してみたり、意味もなく教科書を黙読したり。
そんな風に時間を潰しながらも、やっぱり周りの賑やかさに目を向けてしまう。
こうやってトイレにいる時だけが、クラスに友達がいない自分を忘れられる気がした。
手を洗ってトイレから出ると、同じクラスの寺泉さんが、髪を指でくるくるさせながら鼻歌を歌って歩いてくるのが目に入った。
こんなとき、どうしたらいいのか、いつも考える。
真顔で素通りするのも、なんだかおかしいし、通り過ぎる一瞬の間に声を掛ける勇気もない。
そう考えている間にも、寺泉さんとの距離は近くなっていく。
どうしよう、鼓動が速くなってきた。
笑顔で手を振ってみようかな。
そう思って、すれ違う寸前に、少しだけ右手を上げて小さく振ってみた。
だけど、寺泉さんは、それに気づかなかったみたいで、ご機嫌な鼻歌を歌いながら、目もくれずに通り過ぎていった。
やっぱり、手を振るなんて、図々しすぎたかな。
笑顔で会釈ぐらいにしておけば良かったかな。
後悔と思案を交互に繰り返しながら、教室に入ろうとした時。
目に映った教室の中の光景に、思わず足が縫い付けられた。