消極的に一直線。【完】
パタン、と隣から本を閉じる音が聞こえる。



「ややこしいことにならないように言うけど、」



低く落ち着いた真内くんの声。



「哀咲とは、そんなに話したことはない」



鈴葉ちゃんが、え、と声を漏らした。



「大事な部活仲間、だけどな」



仲間、という響きが嬉しくて、自然とほころびかけた顔を隠すために、俯いた。



そっか。

大事な仲間だって思ってくれていたんだ。






「そう、なんだ……」



少し歯切れの悪い鈴葉ちゃんの声が聞こえて、ポン、とまた頭に手が乗った。



俯いていた顔を上げると、鈴葉ちゃんが私の耳に口を近づける。



「大丈夫、私応援してるから」



私にだけ聞こえた声に、一瞬なんの事だろうと考えて、すぐに、クラスに馴染めるように、ということだと思い直した。



ありがとう、と言おうと思った時。

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