消極的に一直線。【完】
――――……


英語、生物、と、午後の授業がいつもよりゆっくり進んでいく。


やっと、数学。今日の最後の授業。




「この方程式とこの方程式が――」



太吉先生が説明しながら、黒板に数字や記号を書いていく。



いつもなら理解しようと動く頭が、今日はただ時間が過ぎることだけを必死に願っていた。




窓からスースーと刺さる風に、身体が小さく震える。



「はい、ここ大事なところだからよーく写しとけよー」



開けたノートの上で、震えながらシャーペンを握りしめる。



力の入らない手を必死に動かしながら、ゆっくりと数字を書いていく。



このまま、この重い頭を机の上に預けてしまいたい。


そうしたら少し楽になるのかな。



そんなことを考えた瞬間、緩んだ手からポトッとシャーペンがすり抜けた。



そのままシャーペンが机の端の方へ転がっていく。



慌ててそれを取ろうとすると、手が滑って、カランと床に落ちてしまった。



拾わなきゃ。

そう思って、身をかがめるために椅子を引く。
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