消極的に一直線。【完】
体調不良でもないはずなのに、動悸がおかしくて頭がクラクラする。
「ね、哀咲さんはどう思う?」
不意に、朝羽くんに、今までの話の続きのように話しかけられた。
視線を朝羽くんに向けると、朝羽くんは少しだけ眉を寄せている。
「寺泉さんが、鈴葉を見かけるたび鈴葉に嫌味言ってるの知ってる?」
朝羽くんの発した言葉を追って、驚いて首を横に振った。
寺泉さんが鈴葉ちゃんに嫌味?
どうしてだろう。
「僕は心配で寺泉さんに言い返そうとするんだけど、鈴葉は寺泉さんのこと庇うんだ。いっつもだよ」
「鈴葉が寺泉を庇うなら、何も気にしない方がいいんじゃねーの?」
口を挟んだ颯見くんにわざとらしく一瞬視線を送って、「ほらね」と私に何かの同意を求める朝羽くん。
「嵐はこう言うけど、いざとなった時は、いっつも嵐が良いとこ取りして鈴葉のヒーローになるんだよ……」
「え、そんなんじゃねーよ」
「……そんなんだよ」
朝羽くんの瞳が、少し切ない色を含ませた。
なんだかわからない私は、ただそれを見つめることしかできない。
わからない。わからないけど、朝羽くんは、颯見くんが鈴葉ちゃんのヒーローになるのが嫌なのかな。
どうしてなんだろう。
だいたい、寺泉さんが鈴葉ちゃんに嫌味を言うって本当なのかな。
鈴葉ちゃんは、明るくて優しくて可愛くて、みんなに好かれているから、鈴葉ちゃんに嫌味を言うような人がいるなんて信じられないなぁ。
「ね、哀咲さんはどう思う?」
不意に、朝羽くんに、今までの話の続きのように話しかけられた。
視線を朝羽くんに向けると、朝羽くんは少しだけ眉を寄せている。
「寺泉さんが、鈴葉を見かけるたび鈴葉に嫌味言ってるの知ってる?」
朝羽くんの発した言葉を追って、驚いて首を横に振った。
寺泉さんが鈴葉ちゃんに嫌味?
どうしてだろう。
「僕は心配で寺泉さんに言い返そうとするんだけど、鈴葉は寺泉さんのこと庇うんだ。いっつもだよ」
「鈴葉が寺泉を庇うなら、何も気にしない方がいいんじゃねーの?」
口を挟んだ颯見くんにわざとらしく一瞬視線を送って、「ほらね」と私に何かの同意を求める朝羽くん。
「嵐はこう言うけど、いざとなった時は、いっつも嵐が良いとこ取りして鈴葉のヒーローになるんだよ……」
「え、そんなんじゃねーよ」
「……そんなんだよ」
朝羽くんの瞳が、少し切ない色を含ませた。
なんだかわからない私は、ただそれを見つめることしかできない。
わからない。わからないけど、朝羽くんは、颯見くんが鈴葉ちゃんのヒーローになるのが嫌なのかな。
どうしてなんだろう。
だいたい、寺泉さんが鈴葉ちゃんに嫌味を言うって本当なのかな。
鈴葉ちゃんは、明るくて優しくて可愛くて、みんなに好かれているから、鈴葉ちゃんに嫌味を言うような人がいるなんて信じられないなぁ。