消極的に一直線。【完】
「つき、あう?」



たどり着いても、理解をするにはもう少し時間が必要で。



「そう。」



つきあう、という文字の音だけが、思考の中で反復する。



「え、と、」



付き合うって、何だったかな。



脳がその答えをベールに包んで隠してしまって、見つけることができない。



「雫の気持ちはどこまで行ってんのかなーって思ってさ」



意味の伝わらない言葉を必死に辿って、倖子ちゃんの言おうとしていることを読み取ろうとする。



「雫はさ、」



一呼吸あいた空白に、倖子ちゃんがスっと息を吸った。



「颯見が他の誰かのものになったら、どうする?」





少しだけ静かに受話器から響いた声が、脳を酷くぐらつかせた。
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