消極的に一直線。【完】
中間テストが無事終わり、六月になった。


雨が続いて、湿った空気が身体に纏わり付く。



――自分から何か頑張ってみたら?



たまにふと、あの日倖子ちゃんに言われた言葉が頭をよぎる。



だけど実際にそうするのは、あまり現実的ではなくて、以前と変わらないまま。



「こーんな鬱陶しい季節だし、君達に新しい風を送り込んでやろう」


「……太吉先生、何言ってんの?」



終礼の時間に、担任の太吉先生がよくわからないことを言って、黒板に大きく縦線を引き始めた。



「席替えするぞー」



そう先生が言うと、わーっと教室が沸き立った。



「やった、あたし後ろの席がいいな」


「俺、窓際!」


「ケイコちゃんの近くがいいなぁ~」


「うんうん」



口々に希望を囃し立てる。





私は、倖子ちゃんと近くの席になれたら、嬉しいな。



心の中で呟いて、ふと、浮かんだもう一つの希望の席。



だけど、それはあまりにも傲慢で、恥ずかしくて、心の中でも呟けない。
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