消極的に一直線。【完】
――――……


いつもなら、吉澄さんと西盛くんと洲刈くんの折り重なるような会話が、登下校の道を賑わわせていた。



だけど今日は、言葉を発さない真内くんと、言葉を発することができない私が、並んで歩くだけの静かな道。



同じ制服を着た周りの子達の楽しそうな会話が、こんなにとてもよく聞こえるは、いつぶりなんだろう。



けれど、一人ではないというだけで、昔とは全然違ったように聞こえてくる。



通い慣れた道は、側道から大通りに出て、緩やかな坂をのぼっていく。



明日からは、この道を一人で歩くんだなぁ。

そう思うと、ぎゅっと胸の奥が掴まれたように痛んだ。






緩やかな坂が傾斜を増すと、その上に校門がある。



会話の無い静かな空気が心地よくて切ない。



いつも玄関を開けると当たり前のようにみんなが立っていて、校門まで一緒にいてくれた。



部活では会えるのに。辞めて欲しくないと言ってくれたのに。登下校が一人になることをまだ寂しく感じている。



私はどこまで図々しく厚かましいんだろう。



いつの間にか当たり前になっていた“みんなで登下校”は、勿体無いぐらい尊いものだった。
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