消極的に一直線。【完】
あ、“一緒”はここまでなんだ。



そう思って、真内くんより一歩前に進もうとした脚が、縫い付けられたみたいに止まる。



立ち止まった真内くんの隣で、同じように立ち止まった私。



隣から真内くんの視線を感じた。



私は何をしているんだろう。

きっと真内くんを困らせてる。


そう思うのに、身体は前へ進もうとしない。






ふっ、と隣から息の音が聞こえた。



「部活終わりは、あいつらと帰れる。方向同じ所まで」



真内くんの低い声が心地よく耳に入って来た。



そうか。
帰りは、途中まで一人じゃないんだ。



切なく寂しく感じていたものが、少し軽くなった。



それと同時に、自分の心を読まれていたのかもしれないと思うと、恥ずかしさが徐々に湧いてくる。





「だから、」



ポン、と頭に温かい手の重みが乗っかった。



驚いて見上げると、真内くんの切れ長の瞳と目が合った。




「そんな寂しそうな顔するな」




鋭く優しい色を含んだ目は、やっぱり不思議な雰囲気を感じさせる。



寂しそうな顔をしていたらしいことにまた羞恥心がこみ上げてきて、顔を俯けた。
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