消極的に一直線。【完】
だけど、それは本当に幻で、すぐに胸の温度が下がる。
何年も前から、って、私と颯見くんは出会ってからまだ一年も経っていない。
脚が、まるで宙に浮いたみたいに感覚を失っていく。
さっきまでザワザワと揺れていた木の葉が、妙に静かに聞こえた。
そっか。
颯見くんは、鈴葉ちゃんのことを話してたんだ。
鈴葉ちゃんのことを、好きだと言ってたんだ。
一瞬でも自分のことかもしれないなんて期待して、どこまでも恥ずかしい。
私は、釘を刺されてたんだ――。
何年も前から、って、私と颯見くんは出会ってからまだ一年も経っていない。
脚が、まるで宙に浮いたみたいに感覚を失っていく。
さっきまでザワザワと揺れていた木の葉が、妙に静かに聞こえた。
そっか。
颯見くんは、鈴葉ちゃんのことを話してたんだ。
鈴葉ちゃんのことを、好きだと言ってたんだ。
一瞬でも自分のことかもしれないなんて期待して、どこまでも恥ずかしい。
私は、釘を刺されてたんだ――。