消極的に一直線。【完】
廊下には、終わりのホームルームを終えただろうクラスの人がパラパラと立っている。



その中をただ二人、無言で歩く。



私と颯見くんの間に空いた、人一人分ほどの距離が、颯見くんの気持ちを物語っていた。



不本意に私を保健室まで連れて行かないといけなくなった颯見くんは、きっと今とても困っている。



自分のことを好いていて振った女子と、二人で歩かないといけないなんて、すごく、気を遣うだろうな。



私がもう颯見くんのことを好きじゃなくなれば、颯見くんもこんな嫌な思いをしなくて済むのかな。



颯見くんを好きなことを辞めれば、颯見くんに迷惑をかけなくて済むのかな。





ぐっと喉の奥に何かがつっかえて、目頭が熱くなりかけたのを、慌てて引っ込めた。



こんなところで泣いてしまったら、もっと颯見くんに迷惑をかけてしまう。



歪みかけた視界をパチパチと瞬きして誤魔化す。
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