消極的に一直線。【完】
「だったらもう、はっきりその秘密打ち明ければいい」



その言葉にハッと視線を上げた鈴葉の目が僕を見た。



そう言っておきながら、自分は気持ちを打ち明けられないくせに、なんて自分で思って、自嘲の笑みがこぼれる。



だけどもう、鈴葉や嵐は、想い人や恋敵である前に、大切な幼馴染。



まかり間違って自分の恋が叶うよりも、二人が幸せでいる方がいいと思った。



少なくとも、今の気まずい状況でいられるよりは、断然に。



「でも」と口を動かす鈴葉に、ふぅ、と息を吐いた。





「嵐のことが好きなんだろ」






そう告げると、案の定鈴葉の綺麗な瞳が揺れて、頬が赤みを増した。



「えっ、なんで」



想定外に言い当てられて慌てた様子の鈴葉が、少しだけ可愛い。








「そりゃわかるよ。鈴葉のことずっと見てきたんだから」








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