消極的に一直線。【完】
向かった先は、数学準備室。


授業で使うデカい三角定規や方眼マスのシート型黒板などがしまわれている。



だが高校の数学でそんな道具を使うことはあまり無く、ほぼ誰も入らない空き教室のようになっている。



ガラガラ、とドアを開けると、モワッと蒸された空気が鼻に入った。



「うわ、空気悪いなー」



誰も使わない教室は、換気もされず、太陽の熱と湿気だけが溜まっていたんだろう。



いや、ホコリも溜まってるか。



教室に入り窓を開けると、スーッと空気が通り抜けた。



「で、何手伝ったらいいの」



嵐が空いたドアの縁に背中をつけて俺を見る。



「まぁ手伝いっつーか、ちょっと話があってな」


「え、なんかすげーやだ」


「いいから入れ。んでドア閉めろ」



嫌な顔しながらもいう通りに動く嵐。



嵐は昔から素直なのか素直じゃねーのか、そういうやつだ。
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