消極的に一直線。【完】
放課後、今度は大縄のために運動場へ集まった。



体育委員である大西さんが仕切って、背の順に並べられ、配置が決まる。



縄を回す二人も、縄を持って配置についた。練習が始まる。

そう思ったとき。



「私、昼休み見てたんだけどさ、ムカデ競争の人たちは、そっちの練習した方がよくない?」



一人の女子が、そう言った。



それに続いて、他の子も「確かに」とか「全然進んでなかったもんね」とか賛同していく。



クラスメートの意見に押され、大西さんは「わかった。そうしよ」と承諾した。



がんばってねー、なんて声を背中に受けながら、大縄の列から離れていく。



大西さんがムカデ競争の板を持ってきて、また、昼休みと同じ順番に並んだ。



板に足をくくり付けて、前の佐藤さんの肩に手を置く。



佐藤さんは膝を怪我しているんだし、今度は絶対に、私だけでも倒れないようにしなきゃ。



「佐藤、膝大丈夫?」


「うん。ガーゼしてるから転んでも当たらないし」



オッケー、という大西さんの返事の後に、寺泉さんが合図をして、また練習が始まる。



いち、に、と掛け声を掛けながら、足を前に出す。



絶対に、倒れちゃ駄目。倒れちゃ駄目。



そう思っていても上手くはいかないもので。

五歩目の手前まできて、あ、という誰かの声の後、足が止まってバランスが崩れた。



前に倒れちゃ駄目。

そう思った反動で、きゃー、とみんなが倒れていくなか後ろに尻餅をつく。



少なくとも、前に倒れて、怪我をしている佐藤さんに乗るようなことにはならなかった。



そうして練習は何度も繰り返され、何度もバランスを崩しては尻餅をつく。
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