消極的に一直線。【完】
引き続き固まったままの俺と、床を見つめたままの嵐。



沈黙が長く続く。



理解の追いつかない脳みそをなんとか動かそうとするが、重りをつけた足のように鈍って言うことを聞かない。



のっそり動いた思考で、なんとか編み出し口から出た言葉は、「意味がわからん」だった。



フラれたって何だ。

告白したってことなのか。



哀咲は嵐が好きじゃないのか。

なんでフッたんだ。



困らせたくないって、もう諦めるってことなのか。


それでいいのかお前は。



「意味がわからん」



もう一度言ってやると、嵐は「俺も」と呟いて天井を仰ぎ見た。



「フラれて、好きでいること辞めようと思ったけど、できなかった」



そう言った嵐を見ながら、そうか、フったフラれたのせいでギクシャクしていたのか、と今になって思考が追いついてくる。



「もう、勝手に好きでいることにした」



言いながら、嵐は机に落とした腰をひょいっと持ち上げ、俺を真っ直ぐ見た。





「だからもう、告白はしねーよ」









~太吉side end~
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