消極的に一直線。【完】
パラパラとまばらな人口密度の図書室で、もう定位置となってしまった、一番奥の一番目立たないテーブル。



テスト一週間前になると、放課後そこで雫とテスト勉強をするのが、当たり前の習慣になっていた。



今回も同じ。憎き期末テストまでもう一週間もない。



向かいに座って黙々とシャーペンを走らせている雫にチラリと目をやった。






雫は、あの日、颯見に釘を刺されたと言っていた。



あたしは颯見に超ムカついて、ひっぱたきに行こうと思ったけどそれは雫に止められて。



雫を苦しめる颯見も、中雅鈴葉も、そして苦しんでる雫に何もしてやれないあたしも、ムカつく。



何も知らない呑気な太吉先生も。
颯見と雫を二人きりになんかして。




だけどあの時。


あたしは、わからなくなった。




ねぇ、雫。
颯見は本当に釘を刺したの?


颯見の好きな人は本当に中雅鈴葉なの?




保健室のベッドに眠る雫に向けられた颯見の視線。



傷付いたような切ない表情で、愛おしそうな優しい目を向けていた。



まるで、颯見は雫が好きで、颯見が雫にフラれたみたいな――。

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