消極的に一直線。【完】
「え、なに颯見、雫と競おうっての?」
私が返事をする前に、倖子ちゃんが振り返って颯見くんに答えた。
「ちげーよ、ただの世間話だよ」
颯見くんの声が倖子ちゃんに向けて飛んでくる。
「ふーん」
倖子ちゃんは私の左隣の颯見くんに目を向けながら、何か考え込むように答えた。
倖子ちゃんの颯見くんへの敵対視は、保健室に行ったあの日から、なぜか少し和らいだ。
あの日、何かあったのか、いや何もなかったはずだけど、何かを思ったのか、どうなのか、私にはその理由が全くわからない。
だけど、罪悪感を抱いていた私の心は、そのことでだいぶ救われている。
「てゆーか、」
倖子ちゃんの視線が、隣から私に移った。
「雫は英語ちょー得意だし楽勝だったでしょ」
不意にかけられた言葉が、あまりにも私のことを買いかぶっていて、慌てて口を開いた。
「そ、そんなこと、全然ない」
「いやあるじゃん。中間テストなんか一問しか間違ってなかったし」
倖子ちゃんの言葉に、隣に集まっていた男子の誰かが「マジで!?」と叫んだ。
「中間の英語、結構ムズかったよな?」
「俺、時間内に全部解けなかったんだけど」
「俺も俺も。つーか、今日のもタイムオーバー」
男子達が口々に話し始める。
私が返事をする前に、倖子ちゃんが振り返って颯見くんに答えた。
「ちげーよ、ただの世間話だよ」
颯見くんの声が倖子ちゃんに向けて飛んでくる。
「ふーん」
倖子ちゃんは私の左隣の颯見くんに目を向けながら、何か考え込むように答えた。
倖子ちゃんの颯見くんへの敵対視は、保健室に行ったあの日から、なぜか少し和らいだ。
あの日、何かあったのか、いや何もなかったはずだけど、何かを思ったのか、どうなのか、私にはその理由が全くわからない。
だけど、罪悪感を抱いていた私の心は、そのことでだいぶ救われている。
「てゆーか、」
倖子ちゃんの視線が、隣から私に移った。
「雫は英語ちょー得意だし楽勝だったでしょ」
不意にかけられた言葉が、あまりにも私のことを買いかぶっていて、慌てて口を開いた。
「そ、そんなこと、全然ない」
「いやあるじゃん。中間テストなんか一問しか間違ってなかったし」
倖子ちゃんの言葉に、隣に集まっていた男子の誰かが「マジで!?」と叫んだ。
「中間の英語、結構ムズかったよな?」
「俺、時間内に全部解けなかったんだけど」
「俺も俺も。つーか、今日のもタイムオーバー」
男子達が口々に話し始める。