消極的に一直線。【完】
結局五歩以上進むことができずに練習時間が終わってしまった。



板と足をくくり付けていた紐を外していると、大西さんが「ねぇ」と少しくぐもった声を出した。



「あたしら、結構やばいよね。大縄の練習もしなきゃいけないのに。明日の昼休みはもっと真剣にやろ」



そうだね、と笹野さんが言うと、佐藤さんが頷く。



「あたしら息合わなさすぎじゃん。マジやばいね」



はは、と笑う寺泉さんに、「あたしらっていうかさ、」と大西さんが視線をずらした。







なぜだか、嫌な空気がよどんだ気がした。







その続きを何も言わないまま、先に校舎の方へ歩き出す大西さん。

その後を追うようにして、佐藤さんと笹野さんが走っていった。



寺泉さんは、私が紐を外すのを待っている。



慌てて外すと、素早く板を持ち上げて行った。




四人の後ろ姿を見ながら、心に何か薄暗い嫌なものが混ざってくる。



空も、なんだかよどんでいる気がした。
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