消極的に一直線。【完】
「ごめんなさいっ」



鈴葉ちゃんが、立ったまま勢いよく頭を下げた。



突然のことに頭が追いつかなくて、呆然とそれを見つめる。



何が起きているんだろう。鈴葉ちゃんは何を謝ってるんだろう。



どうして、泣きそうな顔をしていたの?



何も、全然、わからない。



だけど、なんだかこの状況に居心地の悪さを感じて、ベンチから腰を上げた。



鈴葉ちゃんが頭を上げて、立ち上がった私を見る。



やっぱり、泣きそうな顔をしている。



「あの、鈴葉ちゃん、どうしたの?」



こんな鈴葉ちゃんを見たのは初めてで、なんだか胸がキュッと苦しくなって、思わず鈴葉ちゃんの手を握った。



私のなのか、鈴葉ちゃんのなのか、握った手が小さく震えている。
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