消極的に一直線。【完】
中庭から校舎へ入ると、もう立ち話している人はあまりいなくて、下校のために廊下を通る人だけがパラパラと通り過ぎていく。
隣を歩く鈴葉ちゃんは、さっきまでの恋の話なんて忘れてしまったみたいに、テストの話やこれから訪れる夏休みの話を楽しそうに喋っている。
きっと、気を遣ってくれている。
「海も行きたいなー。あ、それから、」
言いかけた鈴葉ちゃんが、教室にたどり着く数歩手前で立ち止まった。
つられて私も立ち止まると、ポンと肩に手を置かれて、鈴葉ちゃんの整った顔が近づいてきた。
思考が追いつかないまま、ただそれを受け入れる。
「真内くんよりも、嵐、とかどう?」
耳元で囁かれた綺麗な声に、思わず心臓が跳ねて、固まった。
私の耳元から顔を離した鈴葉ちゃんが、ふふ、と悪戯っ子みたいに笑う。
「え、あ、」
回りだした頭の中で、囁かれた言葉が反響している。
そうか、鈴葉ちゃんは、私が真内くんのことを好きだと思っているから。
そうだった。訂正しなくちゃいけない。
「あの、」
「じゃあまたね」
言いかけた私に、鈴葉ちゃんの声が被さって、鈴葉ちゃんはそのまま手を振って去っていってしまった。
隣を歩く鈴葉ちゃんは、さっきまでの恋の話なんて忘れてしまったみたいに、テストの話やこれから訪れる夏休みの話を楽しそうに喋っている。
きっと、気を遣ってくれている。
「海も行きたいなー。あ、それから、」
言いかけた鈴葉ちゃんが、教室にたどり着く数歩手前で立ち止まった。
つられて私も立ち止まると、ポンと肩に手を置かれて、鈴葉ちゃんの整った顔が近づいてきた。
思考が追いつかないまま、ただそれを受け入れる。
「真内くんよりも、嵐、とかどう?」
耳元で囁かれた綺麗な声に、思わず心臓が跳ねて、固まった。
私の耳元から顔を離した鈴葉ちゃんが、ふふ、と悪戯っ子みたいに笑う。
「え、あ、」
回りだした頭の中で、囁かれた言葉が反響している。
そうか、鈴葉ちゃんは、私が真内くんのことを好きだと思っているから。
そうだった。訂正しなくちゃいけない。
「あの、」
「じゃあまたね」
言いかけた私に、鈴葉ちゃんの声が被さって、鈴葉ちゃんはそのまま手を振って去っていってしまった。