消極的に一直線。【完】
グラウンドを見ていた真内くんが、私に視線を向けて、一瞬目を見開いた。



「……やっぱり言わなくていい」



真っ直ぐ視線が刺さって、ゆっくり真内くんの手が延びてくる。





「あんたのそういう顔見んの、俺も辛い」






その手が、ふわっと頭に乗って、スルッと髪を滑っていった。







直後。



ダンッ!!




と、まるで何か破裂したかのような大きな音が、鼓膜を揺るがした。




真内くんの奥側から、跳ね返ったサッカーボールがグラウンドへ弧を描いて飛んでいく。







「颯見、どこ飛ばしてんだよー」


「悪い!」




不意に颯見くんの声が聞こえてきて、トクンと鼓動が跳ねた。




タッタッタッと、軽い足音が近づいてくる。



それが誰の足音なのか、簡単に見当がついてしまって、真内くんに向けた顔を動かせない。







その足音が私のすぐ横で止まった。



心臓が、きゅ、と小さくつままれる。




延ばした手を引っ込めた真内くんが、ふっと表情を緩めた気がした。
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