消極的に一直線。【完】
勝手な思考がぐるぐると回る。



暑さも相まって、やっぱり気分が悪い。



のぼせたみたいに、周りの音がこもって聞こえてくる。





あれ、これは。





視界がだんだんと色をなくしていくのを感じて、もうすぐ体育館へ着くというところで足を止めた。







「あれ、哀咲さん?」



後ろの子にかけられた声も、モヤがかかったみたいに遠くに聞こえる。



急に、冷や汗が全身から滲み出た。



貧血だ。



どうしよう。


ここで倒れて迷惑をかける前に、保健室へ行かないと。


早く、先生に言わないと。




――しんどくなったら早めに言って



クシャッと笑った颯見くんの顔が脳裏に浮かんで、重い体を後ろへ向けた。



いつの間にか、また真後ろにいた颯見くんと、バチっと視線が繋がる。



「哀咲、」


「颯、見、く――」




焦ったような慌てたような颯見くんの顔が、チリチリとモザイクがかかったように見えなくなっていく。



鼓動の音だけを聞きながら、私はその場で意識を失った。
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