消極的に一直線。【完】
これを開けたら、そこにいるのは保健の先生かな。


それとも――。



思いかけて首を振る。



何を期待しているんだろう。


厚かましいにもほどがある。



浮かんだ颯見くんの顔に胸が高鳴るのを、ぐっと抑えた。



保健の先生がいるはずだから、ちゃんとお礼と謝罪を言わないと。



カーテンを掴む手が少し震える。



少しだけそれを横に動かすと、カーテンの向こうから、ギコ、と先生の椅子の音が聞こえた。




「起きた?」




ドクン、と大きく心臓が跳ねる。




足音が聞こえて、少しだけ開いたカーテンの隙間から、制服の白シャツがのぞいた。




「開けるよ」




掴んでいたカーテンが、シャーっと音を立てて横に動いた。




視界に映る、保健室の景色と、目の前の男子の制服。



心臓が、速いペースで脈を刻み出す。



顔を上げると、クシャッと笑った颯見くんと目が合った。
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