消極的に一直線。【完】
颯見くんの言葉の途中。



ガラガラ、と保健室にドアの音が響いた。



反射的に颯見くんがドアを振り返る。




「しずくー」



入ってきたのは、倖子ちゃん。



「大丈夫?」



訊かれて慌てて頷くと、その後ろから、ぞろぞろとクラスの人達が続いて入ってきた。



「哀咲さん大丈夫?」

「貧血?」

「急に倒れたからビックリしちゃった」

「気分どう?」



二人だけの空間だった保健室は、一気に人で埋まっていく。



みんな、心配してくれていたんだ。



すごく嬉しいのに、さっきまでの二人の空間が名残惜しいような、不思議な気持ち。



「颯見ずりーよ、式サボり」

「てか先生いないじゃん」

「じゃあ二人きり?」

「おいおい、襲ったりしてねーよなー」



クラスの男子も入ってきて、颯見くんに腕を回したり頭をグシャグシャと押さえたりしてる。
< 425 / 516 >

この作品をシェア

pagetop