消極的に一直線。【完】
「雫、もしかして泣いてた?」



言われて、はっと顔を俯ける。



そうだ、少し前に泣いてしまっていたから。




「え、なになに、哀咲さん泣いてるって」



一人の男子が、おちょくるように言った。



「おい颯見が泣かせたのかー?」


「告られてフッたんじゃねーの」



冗談ぽくそんな言葉を吐く男子達の声に、慌てて顔を上げた。



違う、颯見くんは泣かせてない。



私が勝手に泣いただけ。




「ちょっと男子やめなよ」


「悪ふざけが過ぎるよ!」



女子達が、男子達に対抗して、私を庇ってくれてる。



私の腕を掴んでいた倖子ちゃんが、「ごめん、あたしのせい」と呟いて手を離した。



颯見くんに群がる男子達に、ズンズン向かっていく倖子ちゃん。



「ちょっとあんたら、雫に――」


「俺が告ったんだよ!」










倖子ちゃんの言葉を遮って、颯見くんの声が響き渡った。
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