消極的に一直線。【完】
「え、何かの冗談?」



一人の男子が呟く。



「ちげーよ、俺、哀咲に告るの二回目だし」



自分の脈の音が遠くに聞こえる。



「マジかよ、え、マジなのかよ」


「二回目? 一回フラれてんの?」


「それってちょーマジじゃん」



思考がまっさらになってしまって、必死に働かせているのに、何も考えられない。









「うん。俺、哀咲のことすげー好きだよ」










ドクン、と心臓が跳ねた。




何だろう。



脈が、煩い。



何が起こってる?

何を言われてる?



思考がついていかない。



何か、幻想のようなものが見えているのかもしれない。





働かない頭に手を当てて、おぼつかない足を動かした。




「雫?」



倖子ちゃんの声に背を向けて、保健室の開いたドアから、外へ出た。
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