消極的に一直線。【完】
(嵐side)



「ちょっと颯見くん! そういうのはみんなの前で言うことじゃないでしょ」


「哀咲さん可哀想だよ」



保健室からふらりと出て行った哀咲を追いかけようとしたら、クラスの女子達に止められた。



「雫はあたしが追いかけるから。颯見、後でちゃんと説明してよ」



そう言って寺泉が保健室を出ていく。



もう、何なんだよ。


俺は哀咲と話がしたい。



哀咲が俺のことを好きだと言ってくれて、やっと想いが通じたはずなのに。





「てか颯見って中雅さんと付き合ってんじゃねーの?」



吉田が俺の座っているベッドの横にポスンと座った。



「……お前も誤解してんのかよ」



哀咲も鈴葉と俺の関係を勘違いしてるみたいだったし。



「誤解なのか?」


「完全に誤解」




――私、嵐のこと好きだよ



鈴葉に言われた言葉が脳内で反響する。



あの時、鈴葉は覚悟を決めた顔で、俺がフるのを待ってた。



――カズじゃなくて嵐だよ



そう言われて初めて鈴葉の気持ちに気付いたときから、俺は気まずくてどうしていいかわからなくなってたけど。



鈴葉は、その時からずっと一つの結論を望んでたんだと思う。



――これからも今までみたいに接してよ


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