消極的に一直線。【完】
「ていうか、雫ちゃんと真内くん二人だけ? 他の部員は?」



思わず口から出ていた声は、自分でも驚くぐらい不機嫌さをあらわにしていた。



「あ、の、鈴葉ちゃん、」


「二人で話したかったから」



遠慮がちな雫ちゃんの声に被せて、真内くんが言った。



その言葉に、ますます真内くんへの不信感が募る。



まさか、雫ちゃんからの好意を知って、弄ぼうとしてる、なんてことないよね?



「真内くん、ちょっと話があるから来て」



絶対、そんなこと許さない。


雫ちゃんをこれ以上傷つけるようなこと、させない。



雫ちゃんには、嵐がいるんだから――。



そうして私は、真内くんを体育館倉庫裏に連れていった。
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