消極的に一直線。【完】
「このまま俺らとカラオケ行かない?」


「天気も荒れてるしさ、一人で帰るの危ないよ?」



中に入って教室の前まで来ると、ナンパの声が聞こえてくる。



早く助けに行かないと。



そう思って教室に踏み入れた足。


が、その場に留まった。











目に映った光景。




ガラの悪い男子集団に近寄って、トントンとその男子の肩を叩く、一人の女子。



可哀想なほど震えている彼女を、吸い寄せられるように見つめた。



隣町の中学の制服。


揺れる長いおさげ。


雪のように白い肌。


振り返った男子を見上げる、意思のこもった色素の薄い綺麗な瞳。


小さく震える華奢な体は、儚げなのに、凛と立ってその場を動かない。




目が、離せない。
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