消極的に一直線。【完】
彼女は、男子集団の視線を浴びながら、何かを言いたげに口を小さく開けて呼吸を繰り返している。



「なんだこいつ」

「変なやつ」

「行こーぜ」



鈴葉を囲んでいた男子集団が散った。





「シズクちゃん、助けてくれてありがとう」



鈴葉が彼女に笑顔を向ける。



シズク、っていうのか。


綺麗な名前だな。



そう思った瞬間。







「よかっ、た」





鈴を震わすような声が聞こえて。



俺の中の何かが音を立てた。




中二の二月の出来事だった。
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