消極的に一直線。【完】
「なぁ、今日は僕が鈴葉の塾迎えに行くよ。これからは交代で送り迎え行こう」



一年ほどが経ったある日、カズがそんなことを言った。



「え」



ベッドに寝そべって読んでいた漫画を落としそうになる。



カズは、俺の部屋の折り畳み式のテーブルに頬杖をついて、「ね?」と視線を送ってきた。



待て待て待て、どうして急に?


交代になんかしたら、彼女に会える頻度が半分になってしまう。



「いや、いい」



そう言うと、カズは不服そうに、その整った顔を歪ませた。



何だよ、何が不服なんだよ。


あー、そうか、鈴葉が心配なんだな。



カズは、鈴葉のことになると異常に心配性だから。
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