消極的に一直線。【完】
「俺が守るから安心しろ」



そう言うと、ますます顔を歪めたカズ。



「けど嵐、僕だって……」



なんだか引き下がりそうにない。


だけど俺も引き下がれない。



ただでさえ、もう中三の冬。



中学を卒業したら鈴葉は塾に通わなくなるし、彼女もたぶん通わなくなるだろう。



そうなったら、どこで会えるかもわからなくなって、「どこかでバッタリ出会えますように」なんて天命に祈るしかなくなるんだ。



もうあと何回会えるのか、カウントダウンが始まっているというのに、そんな貴重な時間を。



「カズには譲らねーよ」



絶対に、譲りたくない。





カズは俺の言葉を聞いて、目を見開いた後「そっか」と納得した。



そうして勝ち取った鈴葉の送り迎えの権利――つまり、シズクという名の女子に会える権利を、俺はただの一度もその先へと進む何かに繋げることもできないまま。



俺たちは、中学を卒業した。
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