消極的に一直線。【完】
――ガラガラ



開けた瞬間に、風が抜けて滲み出ていた汗を拭い去る。



「お待た、せ……」



放った声は、目に映る光景を認識したと同時に、音量を下げた。



窓際の席に座る哀咲。机に広げたままの問題集の上に、腕を枕にして頭を預けている。



顔は窓の方を向いていて、ここからは見えない。



だけど、反応がないってことは、寝てる、んだよな。



俺は、中に入って、音を立てないようにドアを閉めた。



ゆっくりと、哀咲の座る窓際へ足を進める。



静かな教室。

秒針の音がやけに耳に響く。



哀咲の座る席の前まで来て、音を立てないように、前の席の椅子を引いた。
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