消極的に一直線。【完】
「雫ちゃんと朝会うのって初めてだよね!」
鈴葉ちゃんは私の隣に並ぶと、明るく笑って歩み始めた。
私もそれに合わせて足を進める。
「鈴葉ちゃん、今日はサッカー部の朝練ないの?」
「今日はカズが風邪ひいちゃって看病してたの。サッカー部マネージャーは私以外にもたくさんいるしね。アラシは朝練行ってるよ」
「そうなんだ。カズくん、お大事にね」
“カズくん”なんて言ってるけど、私は本人に会ったことはないし、顔も知らない。
鈴葉ちゃんの会話に同じようによく出てくる“アラシくん”も知らない。
ただ、鈴葉ちゃんから聞いて知っていることは。
鈴葉ちゃんとカズくんとアラシくんは家が近所の幼なじみだということ。
カズくんとアラシくんはサッカー部に入っているということ。
二人とも、よくモテるということ。
そのせいで、サッカー部のマネージャーは女の子ばかりということ。
そして、ふと誰かが噂していた。
カズくんとアラシくんは、二人とも鈴葉ちゃんに恋愛感情を抱いているらしい。
それから、鈴葉ちゃんも、どちらかのことが好きなんじゃないか、って。
いろんな男子から告白されてるのにいつも断るのはきっとそのせいだ、って噂してた人たちが話していた。
どちらのことが好きでも、両想いだなんて、やっぱり鈴葉ちゃんはすごい。
友達を作るのにすら苦労している私には、遠く次元の違う話だ。
「じゃあ、私はアラシの練習見に行ってくるね!」
気が付くと、もう校門をくぐっていて、友達といる時間ってこんなにも早く過ぎるものなんだと実感した。
「うん。じゃあ、またね」
私が言うと、鈴葉ちゃんはふわりと笑って駐輪場の方へ駆けて行った。
何もかもが、春の花みたいな人だ。
雰囲気も、話し方も、声も、顔も、表情も。
鈴葉ちゃんは私の隣に並ぶと、明るく笑って歩み始めた。
私もそれに合わせて足を進める。
「鈴葉ちゃん、今日はサッカー部の朝練ないの?」
「今日はカズが風邪ひいちゃって看病してたの。サッカー部マネージャーは私以外にもたくさんいるしね。アラシは朝練行ってるよ」
「そうなんだ。カズくん、お大事にね」
“カズくん”なんて言ってるけど、私は本人に会ったことはないし、顔も知らない。
鈴葉ちゃんの会話に同じようによく出てくる“アラシくん”も知らない。
ただ、鈴葉ちゃんから聞いて知っていることは。
鈴葉ちゃんとカズくんとアラシくんは家が近所の幼なじみだということ。
カズくんとアラシくんはサッカー部に入っているということ。
二人とも、よくモテるということ。
そのせいで、サッカー部のマネージャーは女の子ばかりということ。
そして、ふと誰かが噂していた。
カズくんとアラシくんは、二人とも鈴葉ちゃんに恋愛感情を抱いているらしい。
それから、鈴葉ちゃんも、どちらかのことが好きなんじゃないか、って。
いろんな男子から告白されてるのにいつも断るのはきっとそのせいだ、って噂してた人たちが話していた。
どちらのことが好きでも、両想いだなんて、やっぱり鈴葉ちゃんはすごい。
友達を作るのにすら苦労している私には、遠く次元の違う話だ。
「じゃあ、私はアラシの練習見に行ってくるね!」
気が付くと、もう校門をくぐっていて、友達といる時間ってこんなにも早く過ぎるものなんだと実感した。
「うん。じゃあ、またね」
私が言うと、鈴葉ちゃんはふわりと笑って駐輪場の方へ駆けて行った。
何もかもが、春の花みたいな人だ。
雰囲気も、話し方も、声も、顔も、表情も。