消極的に一直線。【完】
昼の練習は結局十歩以上は超えることのないまま、放課後の練習の時間に持ち越された。



「大西、笹野、佐藤、雫、準備はできてる?」



放課後、倖子ちゃんが、先頭で顔を振り向かせて声を張り上げた。



私も含め、みんなが頷くと、倖子ちゃんも大きくうなずいて前に向き直った。



「じゃ、行くよ。せーの」



いち、に、いち、きゃー……と、途中で倒れていく。



手やスカートについた砂を払いながら、立ち上がろうとすると、「ねぇ、」と笹野さんが声をかけた。



「その場で足踏みする練習してみない?」



その提案に、あー、と納得したような声があがる。



「タイミング合わせる練習になると思うんだよ。やってみようよ」


「うん、それいいかも。やってみよ」



大西さんに続いて、みんなが頷いた。



そうして、みんな立ち上がっていく。
私も慌てて立ち上がった。



「じゃあ左からね。せーの」



倖子ちゃんの掛け声で、いち、に、と足を上げる。


だけどだんだんタイミングが合わなくなって足が持ち上がりにくくなっていく。



「ちょっとストップ!」



佐藤さんが声を上げた。


みんなの足が止まる。



「あたし、みんなのタイミングより足上げるの遅いのかも!」


「そうなの?」


「うん。ちょっと意識してみるから、もう一回やってくれないかな」



佐藤さんに頷くと、倖子ちゃんが掛け声をかける。



「じゃ、いくよ。せーの」

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