消極的に一直線。【完】
学校からクレープ屋までの道中は、倖子ちゃん達の、たくさんの話を聞いて、すごく楽しかった。



私から何かを言うことはほとんどなかったけど、そんなこと気にしてないかのように、たくさんの話をしてくれた。



大西さんと笹野さんと佐藤さんは、同じ中学で、そのころから仲が良かったこと。



倖子ちゃんには一つ先輩の彼氏がいること。



いろいろ話してくれたけど、どうしても信じられなかったのは、倖子ちゃんは鈴葉ちゃんが苦手だということ。



「モテる女子って好きじゃない」



そう言って、しっしっと払うような手振りをした倖子ちゃんだけど、そういいながら、鈴葉ちゃんの良い所、ちゃんと知ってるんだなぁと嬉しくなった。



十分も経っていない間に、ここだよ、と大西さんに促されて、クレープ屋にたどり着いてしまった。



カランカランと大西さんがドアを開けると、中の賑やかな声が開放されたように飛んできた。



「いらっしゃーい。あら、五人ね。五十円引きだからお得だわよ」



店員のおばちゃんに誘導されて、椅子に座る。



「相変わらずうちの学校の生徒多いねー」



笹野さんの言葉でふと周りを見渡すと、私の通っている学校の制服を着た人が何グループもいた。



「だからあたし、ここには来なかったんだよね」



倖子ちゃんが出された水のコップに口をつけて言った。
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