消極的に一直線。【完】
「ま、気にせずクレープ頼もうよ。あたしはやっぱりイチゴチョコ」
大西さんがテーブルに置かれたメニューシートの一点を指差しながら言うと、佐藤さんと笹野さんもそのシートを覗き込んで、手早く決めていく。
「あたしはチョコバナナにする。雫は?」
倖子ちゃんに訊かれて、慌ててテーブルの上のメニューシートに視線を向けた。
思っていたよりもたくさんの種類があって、何が何だかよくわからない。
でも、もたもたしていたら、みんなに迷惑をかけてしまう。
奢られる身なのに、これ以上迷惑なんてかけられない。
焦りながら視線をシートの上で巡らしていると、倖子ちゃんが、スッとシートを私の方に寄せた。
「ゆっくりでいいよ」
――ゆっくりでいいんだ。話してほしい
なぜか倖子ちゃんの言葉にシンクロして、体育館倉庫裏での颯見くんの声がふっと思い出された。
トンっと小さく胸の奥が音をたてる。
「あたしのおすすめクレープはチョコクッキーバナナだよ」
大西さんの声でハッとまたシートに視点を合わせて、チョコクッキーバナナを探して指を指した。
「じゃ、じゃあ、これ、にしようかな」
自分の発する言葉のぎこちなさに少し落ち込みながら、顔を上げた。
「うん! 絶対おいしいからね!」
大西さんはにこっと笑って、お店のおばちゃんを呼び、注文をしてくれた。
大西さんがテーブルに置かれたメニューシートの一点を指差しながら言うと、佐藤さんと笹野さんもそのシートを覗き込んで、手早く決めていく。
「あたしはチョコバナナにする。雫は?」
倖子ちゃんに訊かれて、慌ててテーブルの上のメニューシートに視線を向けた。
思っていたよりもたくさんの種類があって、何が何だかよくわからない。
でも、もたもたしていたら、みんなに迷惑をかけてしまう。
奢られる身なのに、これ以上迷惑なんてかけられない。
焦りながら視線をシートの上で巡らしていると、倖子ちゃんが、スッとシートを私の方に寄せた。
「ゆっくりでいいよ」
――ゆっくりでいいんだ。話してほしい
なぜか倖子ちゃんの言葉にシンクロして、体育館倉庫裏での颯見くんの声がふっと思い出された。
トンっと小さく胸の奥が音をたてる。
「あたしのおすすめクレープはチョコクッキーバナナだよ」
大西さんの声でハッとまたシートに視点を合わせて、チョコクッキーバナナを探して指を指した。
「じゃ、じゃあ、これ、にしようかな」
自分の発する言葉のぎこちなさに少し落ち込みながら、顔を上げた。
「うん! 絶対おいしいからね!」
大西さんはにこっと笑って、お店のおばちゃんを呼び、注文をしてくれた。