消極的に一直線。【完】
放課後、約束通り、鞄を持って倖子ちゃんと図書室に来た。
意外にそこで勉強している人は少なくて、私と倖子ちゃんは一番奥の一番目立たないテーブルを陣取った。
背の高い本棚が盾になって、少し周りと隔離されたようなテーブル。
倖子ちゃんと向かい同士に座って、鞄から筆記用具と数学の問題集を取り出した。
「数学からやるの?」
息の多い小声で訊かれて、遠慮がちに頷いた。
「数学が、一番、点数とれないから」
同じように小声で囁くように答えると、倖子ちゃんも数学の問題集を出した。
「じゃ、一緒に数学やろ」
「うん」
こんな風に、友達と、少し真面目な雰囲気で、同じ問題を解く。
ほとんど喋らないのに、家でひとり勉強しているときとは、全然違う。
「あ、雫、この問題わかった?」
「あ、うん」
「あたし全然わかんないんだけど。ちょっと教えてくんない?」
そっか。
こうやって、教え合ったりもできるんだ。
友達って、楽しいことをするだけじゃなくて、こうやって真面目に助け合ったり、そういうこともできるんだ。
本当に私の学校生活は、何もかもが変わった。
颯見くんと会ってから、何もかも、変わった。
憧れていたものを、少しずつ知って、すごく、楽しい。
「へー、そうやるんだ! ありがとう、雫」
倖子ちゃんが小声で言って笑った直後、ガラガラと図書室のドアが開く音。
倖子ちゃんが、私に向けていた顔を、そーっとドアの方に移した。
意外にそこで勉強している人は少なくて、私と倖子ちゃんは一番奥の一番目立たないテーブルを陣取った。
背の高い本棚が盾になって、少し周りと隔離されたようなテーブル。
倖子ちゃんと向かい同士に座って、鞄から筆記用具と数学の問題集を取り出した。
「数学からやるの?」
息の多い小声で訊かれて、遠慮がちに頷いた。
「数学が、一番、点数とれないから」
同じように小声で囁くように答えると、倖子ちゃんも数学の問題集を出した。
「じゃ、一緒に数学やろ」
「うん」
こんな風に、友達と、少し真面目な雰囲気で、同じ問題を解く。
ほとんど喋らないのに、家でひとり勉強しているときとは、全然違う。
「あ、雫、この問題わかった?」
「あ、うん」
「あたし全然わかんないんだけど。ちょっと教えてくんない?」
そっか。
こうやって、教え合ったりもできるんだ。
友達って、楽しいことをするだけじゃなくて、こうやって真面目に助け合ったり、そういうこともできるんだ。
本当に私の学校生活は、何もかもが変わった。
颯見くんと会ってから、何もかも、変わった。
憧れていたものを、少しずつ知って、すごく、楽しい。
「へー、そうやるんだ! ありがとう、雫」
倖子ちゃんが小声で言って笑った直後、ガラガラと図書室のドアが開く音。
倖子ちゃんが、私に向けていた顔を、そーっとドアの方に移した。