【短】君とホットケーキ
そっか。
もう、イルミネーションの時期が近いね。
駅前あたりはいつも早めにするから、そろそろ見られるかもしれない。
幸せだった日を思い出すと泣けてくる。何か、涙脆くなったかもしれない。
わたしは二十三歳になっていて、社会人としての第一歩を踏み出したところ。
先に歩き出している晴斗先輩にはまだまだかなわないのはわかってる。でも同じ舞台に立てているのが何よりも嬉しい。
仕事も大変だけど、わたしの希望で晴斗先輩と同棲を始めていた。
『歩美がしたいなら、するよ』
投げやりな言葉に聞こえるけれど、それが晴斗先輩の優しさだって知っている。
でも、何でだろう。すごく寂しく感じた。